ウエッジの歴史を紐解きながら三好氏は説明してくれたが、確かに同氏が力説するように自分自身で様々なライへ適応させる万能ウエッジよりも、一つのショット、例えばバンカーショットに限定されて作られたモデルの方がそのショットに関しては性能を発揮し易いのではないか。 グリーン上を転がすために作られたパターとグリーンでもアプローチでも使用できるクラブでは遥かにパターの方がやさしさにおいては分があるだろう。 あとは、その中身が問われるわけだが、三好氏の話は非常に興味深い。
「まず、最初に素材です。 普通、ウエッジに採用されるものは軟鉄鍛造が一般的です。 柔らかいイメージがあるからスピン性能が高くなるという説明ですね。 しかし、今回私はステンレス(SUS304)のロストワックスをニッケルクロムで仕上ました。 その理由ですが、私の解釈ではフェースとボールの間に砂がある程度入り込んでいる方がスピンがかかり易いんです。 そのためには砂を飲み込まないだけの硬さが必要なので、ステンレスにニッケルクロムのフィニッシュを施しました。 また、バンカー専用で使いますからどうしても耐久面で磨耗性を考慮しなくてはいけない。 それも硬めの素材を使った理由の一つです」
三好氏は製品開発のフィールドとして自宅に近い芦屋カントリークラブを使用する。 ご存知の人も多いかと思うが、同クラブは歴史があり、バンカーの深さはアゴが頭の上にきてしまうほどのアリソンだ。 こういったところで開発をしているから色んな発想が生まれてくるのだろう。
さて、次はヘッドデザインについてだ。
「ヘッドの見た目は『ベン・ホーガン』の昔のサンドアイアンをイメージしました。 私の感覚ではこの丸みがあるシェイプが一番安定感がありますが、デザインは革新性を持たせました。 まず一つがヘッドタイプを柔らかい砂用(ソフト)と硬い砂用(ハード)の2種類開発したこと。
バンカー用ウエッジの最大の機能はバンスとソール幅です。 バンスを効かせて打つのと、ソール幅を効かせるのでは、砂を打った時のソールの跳ね方が違います。 柔らかい砂の場合はヘッドが砂の中に潜り過ぎるミスが出やすいのでバンスを大きく使いたい。 よって12度のバンスを付けました。
逆に硬い砂のケースはヘッドがボール後ろに入り過ぎたり、またそれを嫌がってホームランしてしまうことが多い。 それでソール幅を滑らせるように使ってもらいたいのでバンスを4度に設定しました。 加えて、ソールバックフェース側をキャビティバックのようにくり抜いてヘッド重量を軽くしました。 「ハード」は浅く、「ソフト」は深くくり抜くことで、先ほど話したそれぞれの効果が、より発揮されるような工夫を凝らしたんです。」
聞けば聞くほど味が出る、スルメみたいな製品だ。
話をまとめると、必ずバンカーから出すという目的で作られた往時のサンドアイアンに現代のテクノロジーをふんだんに注ぎ込んだモデルといえるだろう。
この『フライドエッグ』は、男性用カーボンシャフト(フジクラ製)装着タイプ、オリジナルスチール(トゥルテンパー製)装着タイプ、そして女性用カーボンシャフト(フジクラ製)が「ハード」、「ソフト」ともにラインナップされていて、価格はオープンプライス。

|